人は禁止されると、制約されている、我慢している行為に対し苦しさを感じるものです。そうではなく、思考の転換です!
例えば、女性がもっと美しくなるために、ダイエットをする。「ダイエット」と言うと炭水化物を禁止する、大好きなチョコレートを我慢する・・・そんな制約される行為だと考えてしまうと、あれもダメ、これもダメと苦しいはずです。考えを変換して「若いころのようなスレンダー美女になる!」
2020.02.26
| 歯科衛生士のスキルアップ私は、生涯「ノンスモーカー」です。(煙草を吸わない人、非喫煙者)
なので、「禁煙」をしたこともありません。
昨今、喫煙者は肩身の狭い社会になりした。
特に医療機関でお勤めの歯科衛生士であれば、なおのことです。
昨年の7月18日には、改正健康増進法が可決され、多くの人が使う施設で喫煙を規制されることになりました。
すべての人に罰則付きで禁煙場所での喫煙を禁じ、これまで努力義務だった同法の受動喫煙防止が義務化されることになったのです。
そして東京オリンピック前の2020年4月には、全面施行されます。
改正法は、望まない受動喫煙をなくすことが目的とされ、住宅や旅館、ホテルの客室を除くすべての施設や公共交通機関が対象となります。学校や病院、行政機関は敷地全体を禁煙とし、受動喫煙が起きない屋外の決められた場所でしか喫煙できなくなります。
施行が2ヶ月後と迫った今、喫煙と禁煙にフォーカスしてみたいと思います。
そこで本日のコラムは、喫煙すらしたことのない私が、「禁煙」を語る、ノンスモーカーからの禁煙のススメです。
喫煙者の皆さんに、真逆から見た禁煙について、少し違った気付きがあればと思っています。
まずはじめに、我が国の禁煙対策と煙草についてお話します。
「タバコは有害だ」「タバコは身体に良くない」ということは、誰でも知っています。
しかし、もう少し具体的に。
タバコは、喫煙者本人だけの問題ではなく、タバコから吸い込んだ主流煙を喫煙者が吐き出す呼出煙と副流煙からなる受動喫煙(secondhand smoke)により不特定多数の健康までにも悪影響を与える・・・・・、ここまでは多くの方が認識されていると思います。
そして意外に知られていないのは、「タバコを消した後にも残っているタバコ煙による汚染、 残留タバコ成分による健康被害、三次喫煙(thirdhand smoke)」による健康被害もあるということです。
喫煙者の方には、そのことを念頭に、周りの方への配慮をしていただく必要があります。
また、タバコの煙の中には、約4,000種類の化学物質が含まれ、そのうちの約200種類が有害物質で、発がん物質が約70種類と言われ、
まさに「毒」でしかない存在なのです。
次に、我が国日本の禁煙対策について。
来る2020年夏、今年我が国は世界中から注目を浴びる一年、オリンピックイヤーとなります。
しかし、禁煙対策についていえば、日本は世界から「禁煙の発展途上国」と言われているというのです。
東京オリンピック・パラリンピックに向けて、わが国でも急速に禁煙対策が進められてきました。
「望まない受動喫煙の防止」を目的として、冒頭にも触れた2018年7月に健康増進法が改正され、原則屋内禁煙が初めて法制化されました。
最近では、どこのファミレスや喫茶店に行っても、禁煙席は終日見かけなくなるなど、喫煙者にとっては過ごしにくい環境となってきたのは事実です。
さらに今年の4月からは飲食店も原則屋内禁煙となります。
これだけ聞くと、急速に我が国の禁煙対策は進んでいるかのように思われますが、
しかしながら、経済影響も懸念され「既存店」で「客席面積が100㎡以下」かつ「個⼈経営か資本金5,000万円以下の中小企業の経営」の飲食店では喫煙ができるという、例外処置も取られる方針となり、全面禁煙の“お・も・て・な・し”は難しい状況です。
「禁煙の発展途上国」・・・・その汚名はオリンピックイヤーを迎える今年になってもまだまだ払拭されることはないようです。
ここからは、歯科衛生士の皆さんであれば、絶対にご存知の雑学にも少し触れておきます。
タバコ煙が最初に通過するお口(口腔)は、喫煙の悪影響が最初に貯留する器官になります。すなわち、お口(口腔)に貯留、通過するタバコ煙による直接的影響と血液を介した間接的影響の双方が関わります。
ここまでは、簡単に喫煙と禁煙についての現状をご説明してきました。
ここからは、ノンスモーカーの私から、禁煙のススメをお話していきたいと思います。
「禁煙」・・・・喫煙という行為を禁止している状態
これって、なんだか苦しくないですか?
屁理屈のような理屈ですが、「禁煙」を目指すのではなく、「ノンスモーカー」を目指してください。
人は禁止されると、制約されている、我慢している行為に対し苦しさを感じるものです。そうではなく、思考の転換です!
例えば、女性がもっと美しくなるために、ダイエットをする。「ダイエット」と言うと炭水化物を禁止する、大好きなチョコレートを我慢する・・・そんな制約される行為だと考えてしまうと、あれもダメ、これもダメと苦しいはずです。考えを変換して「若いころのようなスレンダー美女になる!」
タバコ臭くない自分になる!
なりたい自分になるのです!
禁煙ではなく、思考の転換をする・・・・・
そんな屁理屈、きけるか!! そんな風に思っていますね。
健康被害、悪臭、出費・・・・、
「喫煙のデメリットも、リスクも十分わかっているんだ!」、「そんな簡単に止められたら苦労はしていない!」 、そんな声が聞こえてきそうです。
二つ目の、ノンスモーカーの私の禁煙のススメは、シンプル方法です。
タバコを吸うメリットを挙げてみましょう。
とは言ったものの、ここではっきり申し上げておきますが……
タバコを吸うメリットは1つもないです。
メリットはありません。1つもありません。
きちんと考えればメリットが1つもないことが分かってきます。
では、一見メリットのように感じる点、あなたが錯覚している点をいくつか挙げてみます。
ニコチンを摂取すると、人は気分が楽になります。それは肺から血中に回ったニコチンが脳に到達し、脳内のニコチン受容体と結合して快感物質であるドーパミンが放出されるからです。
しかしタバコを吸っていない人でもドーパミンは分泌されています。体内で自動生成されているのです。
タバコを吸うことで体が自動生成をしにくくなるため、タバコを吸いたくなるのです。それが、タバコが吸えない時のイライラの原因なのです。
タバコを吸っている限り、永遠と「イライラ」→「吸って気分が楽になる」を繰り返します。
この心理的依存は、「タバコを吸わないと頭がすっきりしない・ストレスが解消できない・仕事が進まない」「だから禁煙できない!」という思い込みや、「自分はタバコを吸っていても病気にならない」と、タバコの健康影響を過小評価してしまうことです。
しかしこれらはすべて、ニコチン依存から起こる誤解、錯覚なのです。
そして間違ってはいけないことが、タバコを吸って解消できるイライラは「ニコチン不足のイライラ」だけです。
それ以外のイライラは、タバコを吸っても収まりません。
しかし、ニコチン摂取時の気分が楽になる感覚を、その問題とリンクさせて「やっぱりタバコがないと私はダメなんだ」と錯覚しているに他ありません。
それ以外のイライラは、その原因とちゃんと向き合うことしか解決できないのです。
タバコを吸うと気分が楽になる、でも触れましたが、タバコを吸い続けている以上、あなたは常にイライラを繰り返します。
ニコチンがなくなることで強制的にイライラするからです。
タバコを吸ってニコチンを摂取した体は、イライラから開放されて落ち着き、作業に集中できるようになります。
しかし・・・・・
もうお気付きですよね。
タバコを吸っていなかったらもっと作業に集中できるのです。
タバコを吸っていない人は、ニコチン摂取のイライラを感じることはありません。
なので、タバコを吸っていない人に比べて「作業効率は遥かに高い」と私は考えます。
体内に取り入れたニコチンは大体 「30分~1時間」程度で半分以下になります。その状態に陥ると、ニコチン摂取のイライラが引き出されて100%作業に集中することが難しくなります。
タバコを吸っていなければ、さらに作業に集中できることは明白なのです。
先にも述べましたが、タバコを吸っていない人でもドーパミンは分泌されています。体内で自動生成されているのです。
ニコチンを摂取しなくても、やる気の源になる「ドーパミン」の分泌は増やすこともできます。
強いやる気は、人間の脳の部位「側坐核(そくざかく)」から分泌される「ドーパミン」という脳内物質によってもたらされていることが科学的に実証されています。
やる気がある状態とはいわば「ドーパミンが大量に分泌されている状態」なのです。
そして、やる気を生み出してくれるドーパミンは、簡単な方法で大量に分泌させられることが立証されています。
タバコの助けなしでも、あなたのやる気を助けてくれる「ドーパミン」の分泌を増やす方法を少しご紹介しておきます。
側坐核は、スポーツをする、勉強をする、体を動かすなど「行動を起こしているとき」に活性化されます。
つまり、ドーパミンは行動することによって分泌されるのです。
逆に寝転がっているときや、座ってテレビを見ているときなど、活動していないときにはドーパミンが分泌されません。
「禁煙」ましてや制限されているという、心理状態では、なかなかドーパミンの分泌は期待できないのです。
「今日のデート中は、1本もタバコが吸えなかった(涙)」、制限された心理状態ではダメなのです。
「今日のデート中にタバコを1本も吸わなかった!」なりたい自分に近づいた、そんなあなたの行動が、ドーパミンの分泌を促して奏功してくれるはずです。
そのためにも、「なりたい自分」を目指すこと、その心理的変換はとても大切です。
自分から殻にこもるのではなく、喫煙していた時には障害となっていたことを率先して行い、スポーツや食事を楽しむなど、積極的に行動することが肝心です。
2009年、有名な米科学誌『ネイチャー・ニューロサイエンス』に「音楽はドーパミンを分泌させる効果がある」という内容の論文を発表されました。研究チームが8人の被験者の状態を調べたところ、好きな音楽を聴いてワクワクしているときに被験者たちの身体活動が活発化し、脳内からドーパミンが分泌されることが判明したそうです。
ちなみに、ドーパミンの分泌は、好きな音楽を聴く前の期待感でも発生することが確認されています。一方、特に好みではない音楽を聴いていた場合、ドーパミンの分泌の活性化は確認されなかったそうです。
医学博士の藤本幸弘氏によると、音楽を聴くことによってドーパミンが大量に放出され、「ランナーズ・ハイ」(長時間走り続けた時に感じる多幸感)に似た、一種の興奮状態になることがあるそうです。
好きなアーティストの音楽を流しながら作業を行えば、想像以上にはかどるかもしれませんね。
もう一度言いますが、タバコを吸うメリットは1つもありません。
デメリットしかないのです。
この事をタバコを思い出す度に考えて下さい。
なぜタバコを吸うのか。
なぜタバコを辞めなければならないのか。
そして「ノンスモーカー」になってください。
喫煙者がタバコを辞めることを「禁煙中」という言葉を使いますが、目指すのは「ノンスモーカーになった」です。
本当にノンスモーカーになれたなら、タバコから開放されて、とても良い気分で毎日を過ごせるはずです。
これまで喫煙に費やしていた時間、喫煙できる場所を探していた時間やストレス、吸いたくてイライラした時間・・・・、
そのすべてを、大事な人や仲間と、そしてあなたのための楽しい時間に使えるのです!
さあ、想像してみてください!
ノンスモーカーのあなたを