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お役立ちコラム

2019.11.15

| 歯科衛生士について

おしゃべりな患者さん、どう対応する?

円滑に診療をすすめるにあたって、予約時間を守り、限られた時間の中で手際よく治療を行うことはとても大切なことです。しかし、現実はそううまくはいかない場合が多々あります。おしゃべりが大好きで、一度話し出すと途中でなかなか止まらない患者さんや、世間話や身の上話など熱心に話す患者さん。楽しそうに話しかけてくる患者さんや真剣に自分の症状を訴える患者さんの顔を目の前にすると、本人に悪気が無いだけに、途中で話を遮ることにやはり抵抗を感じてしまいます。だからといって、ずっとその患者さんだけの話を聞くわけにはいきません。次の患者さんに迷惑がかかってしまいますし、満足のいく治療や予防処置ができなくなってしまいます。さて、こんな場合、患者さんの気分を害さずに歯科衛生士としてうまく話しを切り上げる方法はあるのでしょうか?

受け流さない

このような明るく社交的な方や熱心に症状を訴える方は、人一倍自分のことに敏感な場合があります。また、精神的に傷ついていて、客観的判断ができない場合もあります。つまり、忙しい歯科衛生士や歯科医師の手を止めて長時間話を続けていることに気づかず、自分のことで精一杯になっている状態なのかもしれません。ですので何も事前に説明せずに、時間が迫っているからといって、「それでは診療を始めます」と治療に取り掛かったりすると、強い不満を感じてしまいます。「自分のことをきちんと扱ってくれていない」「自分のことを無視されている」と感じ、気分を害される場合もあります。

このような患者さんは、こちらが意図していなくても、こちらの対応に傷ついてしまう場合があります。それではどのように接すれば、患者さんを傷つけずに効果的に治療を進めることができるのでしょうか?

最初に診療の時間枠を伝えよう

まず、患者さんがユニットに座った直後に、患者さんの予約時間枠を一緒に確認し、その中で治療・メンテナンスにそれぞれ何分程必要なのかを説明します。予約時間枠の中の時間配分をあらかじめ提示し、患者さんに了承していただくことで、患者さんの気持ちに配慮していることを伝えられます。このとき、会話で時間が延びてしまうことを考慮して、時間を少なく提示しておくこともポイントです。お話が途中で止まらない多弁傾向にある患者さんには、「時間配分」を意識して頂くことが効果的であり、事前にご理解して頂ければ、気持ちのすれ違いや摩擦も少なくなります。

伝え方としては、
「〇〇さん、こんにちは!本日担当させて頂きます、歯科衛生士の××です。どうぞ宜しくお願いします!〇〇さんの今日の診療時間は10時から10時30分までの30分ですね、その中でまずはお口の点検と清掃を20分間させて頂きたいと思います。残りの10分では〇〇さんからのご質問やこちらからのアドバイスをお伝えする時間にあてたいのですが、いかがでしょうか?」などなど、予約枠と時間配分を提示しましょう。

それでも時間が延びそうな場合には…

予約枠と時間配分を事前に了承して頂いた場合でも、やはり話が止まらずに治療やメンテナンスがなかなか進まない場合もあるかと思います。その様な場合には、事前に説明した内容をもう一度患者さんにお伝えしましょう。あくまで患者さんの話に同調しながら、共感の声をかけてあげることを忘れずに。

このような多弁傾向にある患者さんには、根底に「分かってもらいたい」「認められたい」という承認欲求がある方がいます。聞き手が相手に共感することによって話し手の欲求を一度満たしてあげてから、話題の流れを変えましょう。

相手に不快感を与えない切り替え方とは?

例えば、患者さんの話題によって「そうですか、それは大変でしたね」「よく頑張られましたね」「お気持ちお察しします」「良かったですね!」などの言葉をかけてあげることで、一度患者さんの気持ちを受け止め、共感の姿勢を示しましょう。

その後、「では、そろそろクリーニングのお時間となりましたので、始めてもよろしいですか?」、あるいは「ところで先程のお話の続きをしてもよろしいでしょうか?」と切り出すことで、話の流れをスムーズに戻すことでき、患者さんも気持ちよく診療を受けられます。

患者さんの訴えに共感しねぎらいを与える姿勢を示した後に、患者さんに話を中断して頂いてるため、不信感を抱かせることなく、本題の治療や予防メンテナンスへの流れを作っていくことができます。

まとめ

いかがでしたか?一度話し出すと止まらない患者さんにはあらかじめ時間配分を説明しておくなど、コツを掴めば対応次第でうまく診療を進めながら治療を終わらせることができるのではないでしょうか。

このような一見社交的で明るい患者さんであっても、実は社会的・精神的・金銭的に辛さや不安を抱えているために多弁傾向にあるのかもしれません。身近な存在である「歯科衛生士さん」だからこそ、ついお話に熱中してしまうのではないでしょうか。

家族や地域とのつながりが希薄になった現代で、特に孤独で独り暮らすご老人にとっては「誰か」と話すこと自体が久しぶりかもしれません。ただ話を聞くだけですが、それだけでその方はどれだけ満たされるでしょうか。歯科衛生士さんというお仕事をされている皆さんは、そういう意味でも現代社会において貴重な存在なんだなと感じます。