お役立ちコラム
2020.02.05
| 歯科衛生士について歯科衛生士さんの「交渉力」
歯科衛生士さんの皆さんは、このような場面に出会ったことはありませんか?
◆「さっき先生が治療方針を説明してくれたんだけど、あの人の言っていることがよく分からなくて…。歯科衛生士さん、うまく説明してくれない?」といった患者さんからの訴え。
◆「何を言ってもろくにメモもしないし、返事もしない。もうあの新人衛生士の指導は嫌です。担当を変えて欲しい。」という後輩からの相談。
などなど、人間関係の板挟みになるシチュエーションになることは多々あるかと思います。
なぜ歯科衛生士に「交渉術」が必要なのか
歯科衛生士は歯科医師よりも患者に近い存在でもあり、「チーム医療」のキーパーソンとして、患者や歯科医師、その他スタッフの間の中心的存在だと言えます。
多くの職種、老若男女の方々と接する歯科衛生士さんが仕事を遂行するにあたっては、常に「コミュニケーション能力」「交渉術」が必要不可欠となってきます。
「交渉術」の世界的権威から学ぶ
ペンシルベニア大学ウォートンビジネススクールで15年連続人気No.1の講義を担当するスチュワードダイアモンド氏。
弁護士経験もあり、ピューリッツァー賞の受賞歴もあるジャーナリストのダイアモンド氏は、GoogleやMicrosoft、世界銀行などを顧客に持つ「世界一の交渉上手」と評判の人物です。(著書:『ウォートン流 人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術』)
今回はダイアモンド氏が提唱する、「交渉を有利に運ぶためのコツ」を一部ご紹介させて頂きます。
交渉を有利に運ぶためのコツとは?
まずは目標を明確にしよう
多くの人は交渉の過程で、目標を見失いがちになります。大切なのは、その会話を通じてあなたが「何を得たい」のか?そのことをはっきりさせないと交渉を始めても仕方がありません。例えば、「お給料をあげて欲しい」ことが目標なのであれば、院長先生や経営者に怒ったりカッとなることは全く効果をなさないということは明らかです。
相手のあたまのなかをのぞく
無理に主張したり、影響力を与えようとすると、相手が不信感を抱きかえって裏目に出ることがあります。
それよりも、まずは相手が何を考え、感じ、どうして欲しいかを探ることの方が重要です。
交渉において1番効き目があるのは、自らの意思で相手からアクションを起こしてくれることなのです。
相手の頭の中の絵をのぞくために、歯科衛生士の立場として挙げられる方法は「相手の話を聞くこと」です。
自分が話したいことを聞こうとするのではなく、「相手の話したいことに耳を傾ける」ことが大切です。
そのために、会話の前に「この人(患者さん)の話したいことは何だろう」と想像することがポイントと言えるでしょう。
感情的な相手には下手に出よう
理不尽な要求やクレームを言う患者さんもたまにいると思います。そういう人はもともと感情的になっておらず、冷静にこちらの話を聞く姿勢ではない場合が多いでしょう。
まずは相手に共感・理解の姿勢を示しましょう。必要な場合はきちんと謝り、相手のことを尊重しましょう。
そうすることによって、相手もあなたの意見に耳を傾けるはずです。
お役立ちコラム『おしゃべりな患者さん、どう対応する?』も是非参考にしてみてください。
コミュニケーションを積極的にとり続ける
「交渉」はその場限りのやりとりと思われがちですが、実は事前の情報収集や細やかな計画、信頼関係が必要不可欠となってきます。
立場や価値観が全く違う人間同士ですから、まずは相手とコミュニケーションをとるにあたって根底にあるのが「信頼関係」です。
相手の信頼関係を得るために、普段からコミュニケーションをとりましょう。交渉がうまくいかない時も、黙ったまま自分から交渉を打ち切るのはいちばんまずい方法です。
まとめ
いかがでしたか?
ダイアモンド氏は「交渉に勝ち負けはない」と説明しています。私達が一般的に考える交渉とは、「いかに相手からむしりとるか」「有利な条件になるか」ということばかりをゴールとしてしまいがちですよね。
しかし、お互いがWINWINの結果となるようにまず自分が誠実になることが交渉にとって大きなポイントであると主張しています。お互いの利益を考えた到達点を考えることが、今の時代で求められることと言えるでしょう。
また、交渉は練習することで上達するとも述べています。交渉にトライした後には、「目標を明確にしたか」「相手の立場を分析したか」とふりかえりましょう。そのようにして反省することによって、徐々に高い次元での交渉が可能になってきます。
歯科衛生士の皆さんも、「もっと良い条件で働きたい」「人間関係で悩んでいる」などの困りごとがある方は、ダイアモンド氏流交渉術を学んでみてはいかがでしょうか?
勿論、交渉には万能のツールなど存在しません。「これをやれば必ずうまくいく」などの気持ちで交渉に臨もうとすると、うまくいかないことが多々あります。
しかし、状況や相手を分析しながら考え行動し続けることで、きっと「交渉」が上達して、歯科衛生士として職場にとって必要不可欠な存在になっていくのではないでしょうか?